小児科医は癒やしの司書に愛を囁く
集中していたのか、はじかれたように身体をあげると、両手にある本を抱えて貸し出しのほうへ彼は歩き出した。
時間になり、閉館の手続きをするので全員出てもらうように声をかける。
先生は私の側に来て、車にいるとひと言言い置いて、出て行った。
「平田、終わったか?」
「あ、今日は迎えが来ているから大丈夫です」
「迎え?誰?」
「あ、えっと……」
私が言いよどんでいるのを見て、高村先輩は言った。
「……もしかして、その同居している医者?」
うう。ごまかせない。
「そうです」
「よし、会わせろ。いいだろ?挨拶がてら確認してやる」