会ったことのない元旦那様。「離縁する。新しい妻を連れて帰るまでに屋敷から出て行け」と言われましても、私達はすでに離縁済みですよ。それに、出て行くのはあなたの方です。

ヒーロー参上!

「アミ、すまない。到着が遅くなったばかりに、きみに怖い思いをさせてしまった。いや、それどころか、とんでもないことになっていたかもしれない。アミ、わが愛する婚約者よ。ケガは? ケガはないかい?」

 言葉が終わるまでに、わたしは彼の胸の中にいた。彼にお姫様抱っこをされていた。

 わたしの婚約者クレイグ・デズモンドに抱きかかえられ、彼のいかつい顔を見上げていた。


 五年前、バートに嫁いだはずだった。が、義父母は最初からわかっていた。

 バートとはうまくいかないことを。
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