会ったことのない元旦那様。「離縁する。新しい妻を連れて帰るまでに屋敷から出て行け」と言われましても、私達はすでに離縁済みですよ。それに、出て行くのはあなたの方です。
 結果、形ばかりの結婚は白紙となった。そして、わたしを養女にしたいという願いもきき入れられた。同時に、嫡男のバートはカニンガム公爵家から除籍するよう手配をした。このことについて、義父母はわたしに心情を語らなかった。けれど、たとえどうしようもない愚か者でも実の子である。苦渋以上の決断を強いられたはず。

 義父母は、最期までこのことについて触れることはなかった。

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