会ったことのない元旦那様。「離縁する。新しい妻を連れて帰るまでに屋敷から出て行け」と言われましても、私達はすでに離縁済みですよ。それに、出て行くのはあなたの方です。
 王家の紋章が入っており、手元の手紙よりずっと分厚い。二年前から定期的に送られてくるそれは、最初こそ畏れ多く、その為読むのも緊張していた。だけど、いまでは読むのが楽しみになっている。そして、その手紙の主は、忙しいかたわらわざわざ会いに来てくれる。

 彼は、義父母に対してもあらんかぎりの誠意と愛情を示してくれた。けっして義理ではなく、当たり前のこととしてあらゆるかぎりのことをしてくれた。

 楽しみな手紙はあとにし、嫌な方から読もう。

 その前にカモミールティーを一口飲んだ。

 気分を落ち着けないと、読んでなどいられないとばかりに。

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