会ったことのない元旦那様。「離縁する。新しい妻を連れて帰るまでに屋敷から出て行け」と言われましても、私達はすでに離縁済みですよ。それに、出て行くのはあなたの方です。

まぁ、いいか

「おまえとは離縁だ」

 再度冒頭を読み直した。

 それから、二行目以降に目を通し始めた。

 開け放たれた窓の向こうでは、小鳥たちがお喋りをしている。牛や羊や山羊の呑気な鳴き声が風に乗って流れてくる。

 そういう耳にも心にもやさしい音をバックに、感情をさしはさまず頭の中を真っ白にして読み進めた。そして、読み終わった。
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