見知らぬ彼に囚われて 〜彼女は悪魔の手に堕ちる〜

不審な若い男

 その後、動けない身体のまま何度も重ねられたレオナは泣き叫ぶ。

「お、お願っ……もう、嫌なの!!死にたい……殺してっ……嫌あぁぁ!!」

 絶望のあまり死を願う彼女。

「あの時ともに生きたいと強く願った君に、こんな思いをさせるなんて……私は……」

 今までのことを激しく悔いる彼。
 すると、

『かわいそうな君。知らない男になんて、嫌に決まっているのにね』

 どこからかそう声がしたかと思うと、二人のそばには黒い霧に包まれて現れた若い人間の姿の男が。

「っ、その姿は……」

 彼女のそばにいた老年の男が酷く驚く。

「ねえ君、この姿ならどう?君の全てをもらっても、さ」

 姿は人間。
 しかしこの男は平然と霧から現れた。

 それに、醸し出す怪しげで変に穏やかな雰囲気は人間のものとは思えない。

「君のこと、欲しくなっちゃった。いいよね……?」

 霧に包まれ現れた若い男はいつの間にか彼女を抱いている。
 老年の男の方は気付けば彼女を覆っていた縄で縛られ、離れた場所に座らされていた。

「っあ……!!」

 老年の男は驚きと絶望の表情に変わる。

 レオナの方は何が起きたのか全く理解が出来ないまま。
 突然現れた目の前の若い男と、何かの力で部屋端に追いやられた老年の男を何度も目で追った。
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