見知らぬ彼に囚われて 〜彼女は悪魔の手に堕ちる〜

異形が持ち掛けた“ゲーム”

 愛する彼と見た目だけは瓜二つな、人間ではない“何者か”の腕の中から逃げられずにいるレオナ。

 “異形”はすぐ近くにいる、レオナの愛する彼に見せつけるかのように彼女の身体を弄び続けていた。

「君は可愛らしい顔だね。そしてこの悲鳴に似た鳴き声、僕はとても気に入ったよ。ずっと聴いていたい……」

 動けず与えられる刺激に泣き叫ぶレオナを眺めてはクスクスと愉しげに笑った。

「っ、お願い、です……彼、を……許し、て……」

 快楽に抗いながらレオナは異形にそう懇願する。
 
 彼女のために自らを身代わりにした彼。
 それは彼女の『生きたい』という願いのため。

「レオナ、私がいけなかった。君を失うことに耐えられずに私は……。頼む、彼女だけは逃してくれ!!」

 二人は互いを解放してほしいと異形に強く願った。

「美しいね。そんな二人の譲り合い、僕は見ていて胸が高鳴るよ。……でも、君たちではいつまで経ってもお互いに赦しを乞い続けるだけになってしまうかな」

 レオナを抱き締めたままの異形は愛する彼の姿のまま、怪しげな笑みで彼女に持ち掛ける。

「そうだ、ゲームをしようか。君が“彼”を当てることが出来たら、君の勝ち。解放してあげるよ。……出来なければ、このまま君は僕の思うがままだ。楽しみだね、彼の目の前で僕に全てを奪われ泣き叫ぶ君の姿が」
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