見知らぬ彼に囚われて 〜彼女は悪魔の手に堕ちる〜

巨人に捕らえられて

 するとどこからかまた異形の声。

『あ〜あ、君ももっと楽しめばいいのに。それではここからは僕が見て愉しむ番だ。“彼”に可愛がってもらおう。君が泣き叫び、気を失うほど、ね』

 異形のその言葉はなぜか、自分を捕えた巨人に聞こえるよう言われたもののようにレオナは感じた。

 もがく間にも巨人はレオナを捕まえたまま服を切り裂く。

 レオナは恐怖に怯えながら、なぜか目が離せずに相手の顔を見た。

 巨人は一ツ目でレオナの何倍という背丈。青い筋肉質の身体に皮服を身に纏っている。
 表情は複雑で、一見しただけでは何を考えているものか分からない。

 そうこうしているうちにもレオナの身体は巨人の両手に包まれたまま、長い舌で首元を舐められ始めた。

 その時、

「レオナ!」

と、離れた場所から『彼』の呼ぶ声。

 彼が自分を呼んでいる。
 早くこの巨人の手から、そして突然投げ込まれたこの妙な場所から抜け出さなくては。

 しかし、感じる違和感。

 必死さを感じるほどの声とは裏腹に現れた彼の表情は、この状況には全く不釣合いな穏やかな笑顔。

 巨人の方はというと、レオナを自分のものにというよりも、自分のもとに確保するためだけに自らの手に捕えたように思えた。
 現に、手に収めたレオナの身体をそっと指で撫で回すばかりで先をしようとはしない。

 異形はこの中に彼がいると言っていた。
 レオナはこの状況から脱するために必死に考え始める。
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