後ろの席の五十嵐くんと私の、2人だけの秘密

「いったぁ…」


紗英(さえ)、大丈夫?また偏頭痛(へんずつう)?」


「うーん、そうみたい…。今日、痛み止めの薬がなかなか効かなくて…」


私はズキズキと痛む頭を抑えながら、心配そうに覗き込むクラスメイトで仲良しの森元亜紀(もりもとあき)に、なんとか言葉を返す。


今日の天気はどんよりした曇り。
こういう日は、酷い頭痛に襲われがちだ。


ガラガラッ


「きりーつ」


日直の号令と共にみんな立ち上がる。
私もフラフラと立ち上がり、礼をしてからフラフラと着席した。


「みんなおはよう。出欠とるぞー。五十嵐(いがらし)ー」


「センセー、五十嵐くんいませーん。」


「あいつ…またサボりかぁ?ったく。…次ー、上田ー」


「ほーい」


出欠が取られていく中、頭が痛いのを我慢しながらゆっくりと後ろの席を見る。


五十嵐くんの席は私の後ろ。


でも、たまにこうやって五十嵐くんは授業をサボってるから、そこに居ないのも、もう見慣れた。

< 1 / 76 >

この作品をシェア

pagetop