後ろの席の五十嵐くんと私の、2人だけの秘密

サッカー部エースの彼は、うちの高校のサッカー部を10年振りに全国大会まで連れて行った『期待の新星』ということもあり、サボっても割とお咎めなしだったりする。


「次ー、松田(まつだ)ー」


「…はい。」


「どーした?また頭痛か?薬飲んだのか?」


「飲みました…。すみません、保健室で休んできてもいいですか?」


「おぅ、気をつけていけよー。次、八ツ田ー」


先生はいつものようにサラリと私の申し出を受け入れて出欠確認を進めていった。私は立ち上がり、ゆっくりとした足取りで教室から廊下へ出る。


――この前の席替えで、やっと五十嵐くんと前後の席になったのに、あんまり話す機会がなくて残念…。せっかく仲良くなれると思ったのに…。


はぁ、と溜息をつきながら、保健室までの廊下をトボトボと歩く。

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