私のイチバンをあげてあげなくもない
「椿?」

凪の心配そうな声が聞こえてはっとする。

「いや・・・、別にそういうわけじゃないけどさ・・・。」

出来れば中学のことは思い出したくない。

でも凪を心配させるわけにはいかないよね。

「もー凪ってば!そんなわけないでしょ!中学のことなんてもう忘れちゃったよ!同窓会なんてめんどくさいし疲れるから行きたくないだけだし!」

わざと明るい声でそう言ってみるけど、わざとらし過ぎたかな?

「そ、それに、私なんかが行っても場がシラケるだけじゃん!」

慌ててそう付け加えるけど、

「じゃあ私も行かないにしようかな。」

凪がそう言ってきて2倍慌ててしまう。

「えっ、ダメ!凪は行ってきて!」

凪は中学の頃友達が多かったし、きっと会いたいはず。

それを私が邪魔するわけにはいかない。

「ほら、久々にギャル友に会ってきたら?学校分かれてからあんまり会えてなかったでしょ!」

慌てる私に凪が電話越しにため息をつくのが聞こえた。

「椿、あたしはあんたがあんな奴らと手を切ったのはいいことだったと思ってるんだけど・・・。」

凪がそう言いかけるけど、ちらっと時計を確認したら昼休みはもうあと10分しかない。

「ごめん、もう切らないと!この話はまた今度!」

凪の返事を待たずに電話電話を切る。

本当は時間ギリギリまでここにいたいけど、完璧マドンナな私がチャイムと同時にに教室に駆け込むなんてあってはならない。

「よし!」

ペチンと自分の頬を叩いて気合い注入。

今から私はまた学園の姫。

演じてる私も別に嫌いじゃない。
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