女風に行ったら、モテ期がきた

ろくでもない同期

気まずくなった女の子達が退散したようなので、個室から静かに顔を出した。

「菜々美ちゃん、、ありがとう」

「ミキさん!聞いてたんですか、、」

悪口を言われてると気づかせたくない。きっと彼女はそう思っていたのだろう。本当に優しい子なんだな。

「あの先輩、営業の前田さんのこと狙ってるって有名なんです。最近前田さんがミキさんのこと誘ってるのが気に入らなくて、多分あんなこと、、」

「私なら大丈夫。それより、先輩にあんな言い方して、菜々美ちゃんこそ平気なの?何か言われたら、今度は私が守ってあげるから、相談してね?」

「はい!」

「菜々美ちゃんがかばってくれて凄く嬉しかったから、お礼に、今度美味しいものを食べに連れて行ってあげちゃう」

「わーい!やったー!」

かわいい後輩に恵まれ、幸せな気分で午後からの仕事に励んでいたら、同期の高宮(たかみや)君が訪ねてきた。彼は私と同じ地元採用で、確かシステム部にいたはずだ。

入社して数年は接点もあったが、地味な私は徐々に距離を置かれ、今では仕事でも滅多に話すことがない間柄だ。

「石川、久し振りだな?今日の夜ってなんか予定ある?」

予定の有無を聞く前に用件を言えと思うが、こいつはこういうやつだった。人を不快にさせるこの感じ、久し振り過ぎて返答が遅れる。

「え?何?なんか予定あった?」

「、、いや、別に」

「良かった。そしたら、今夜同期で飲もうって言ってるから、石川も来いよ。時間と場所はあとでメール送っとく」

私の返事を待つことなく話をぽんぽん進め、断る隙も与えずに去っていく。

「何あれ、、信じられない」

「石川さん、『別に』しか言えてなかったですよね?凄いな、あの人。良かったんですか?」

隣で聞いていた高城君が、あまりに異様だったやり取りを心配してくれたのか、声をかけてきた。

「良くないですけど、しょうがないので。これで行かないと、色々言われそうですし」

ずっと誘われることすらなかった同期会なんて、今更行きたくもない。予定があると言えば良かった。突然過ぎて対応できなかった自分が本当に恨めしい。

せっかくいい気分だったのに、あいつのせいで一気に落ちたわ。

まあいい、顔だけ出してすぐに帰ろう。
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