女風に行ったら、モテ期がきた

セラピストとの再会

完全にキャパオーバーとなった私は、再び杏子を召喚することにした。

急な召喚で待ち合わせが夜になり、せっかく都内に出るなら買い物でもしようと、早い時間に家を出た。

歩き疲れてカフェで休憩していたら、、

「ミキさん、、?」

そんなまさかで、セラピスト雅紀が私の目の前に現れた。

「ミキさんを困らせるようなことは絶対にしないから、、」

そう約束して、同じテーブルに席を用意してもらう。

「あの時は、自分でもわけがわからなくなってて。凄く酷いことしたと思ってます。本当にすみませんでした」

多分、ラ○ンのやり取りのことを言ってるのだろう。確かにあれは酷かった。

「ミキさんは、たまたま出たキャンセルにタイミング良く予約を入れたんだと思います。新規の客は、本当に久し振りだったから。新規の場合、会話の糸口を掴むために、必ずDMをしなきゃ駄目で。いつもは憂鬱だった客とのやり取りが、ミキさんとは凄く楽しかったんです」

「ミキさん、俺とのやり取り、うざいって思ってたでしょ?なのに、俺の質問にはいつも丁寧に答えてくれて。なんか、それがとっても心地良かった」

「実際会ったら、返信通りの真面目そう人だと思ったんです。でも、、凄くかわいくて。そのギャップに、俺の方がはまっちゃったんです。ミキさんを手に入れたいのに、その方法が全然わからなくって、あんなことに、、」

「ミキさんとは、客としてじゃなく、普通に出会いたかった。何度もそう思ったけど、出会った過去は変えられないし。ミキさんに拒絶されて、俺、凄く後悔したんです。こんな仕事、するんじゃなかったって」

「次に素敵な女性と出会った時、同じ後悔はしたくない。そう思ったから、いい機会だったので、あのあとすぐに、店を辞めたんです」

「本当は、ミキさんと出会いからやり直したいんですけどね?」

そう言って、ただの雅紀君が、色気たっぷりの笑顔を見せた。

セラピストじゃなくなっても、彼の色気は顕在だ。きっと、素敵な出会いが彼を待っていることだろう。

「もし、またどこかで偶然会えたら、俺とゼロからやり直してくれますか?」

「私には雅紀君は刺激が強過ぎるみたい。日常生活に支障をきたすから、多分無理かな?ごめんなさい」

「残念。じゃあ、そろそろ行きますね。話、聞いてくれてありがとうございました」

雅紀君は最後までイケメンだった。あんな終わり方じゃなく、ちゃんとお別れできて、本当に良かった。
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