女風に行ったら、モテ期がきた

好きと感じる瞬間とは

「そっかー。雅紀が店を辞めたのは知ってたから、心配してたのよ。なんかやばい感じだったし、ストーカーになりかねないなって」

「ストーカーって。そんな感じは全然しなかったから大丈夫だよー」

「いやいや、だって何ヵ月も会ってなかった一回きりの客、普通街ですれ違ってもわかんなくない?しかも今日雰囲気違うじゃん?ミキ眼鏡は?髪も下ろしてどうしたの?イメチェン?」

「あーこれはエロテロリスト対策だよ。視界が悪ければ刺激が減るし、発作が起きても髪で顔を隠せるでしょ?」

「なるほど、、でもそれだと別の問題が起きるんじゃない?」

何!?なんでわかるんだ!

「そう!それで杏子を召喚したの!営業の人達にやたらと誘われるようになって、女子社員に影口言われた挙げ句、若い男の子達を食い散らかしてるって噂を立てられてさ。そのせいで妻子持ちの同期にホテルに連れ込まれそうになって、本当大変だったの」

「まじか。眼鏡と髪型の防御力、半端なかったんだな、、」

「で、問題はそのあとよ。同じ部署の後輩に告白されて、更に別の人にも告白されて、、食事に誘われるのとは話が違うから、どう対処していいかわかんなくて。もう完全に私の許容量を越えてしまった」

「とりあえず、これ以上の被害を出さないためにも、眼鏡と髪型は戻した方がいいかもね。もう手遅れかもしれないけど、、」

「そんな、、この鉄壁の布陣なしでテロリストを抑え込む自信がない、、ていうか、もう手遅れってどういうこと!?」

動揺する私を無視して、杏子は話を進める。

「告白に関しては、完全にミキの気持ち次第だから、なんとも言えないよ。付き合う気がないなら断ればいい。その感じだと、どっちかが好きってわけじゃなさそうだよね?」

「うん。ふたりとも、嫌いではないけど、特別好きでもない。ただひたすら、気まずい、、」

「でも、ミキにちゃんとした恋人がいたら、今抱えてるトラブルの多くが解決しそうではあるけどね?」

「うーん、、確かにそうかもしれないけど、そんな理由で恋人を作るって、どうなの?相手は真剣なのに、なんか酷くない?」

「中高生じゃあるまいし、大人の恋愛に多少の打算はつきものじゃない?絶対に恋人なんか作らない!っていうなら別だけど、そうじゃないなら、いい機会だし考えてみてもいいと思うけどなー」

「考えてみるって言っても、同じ会社で今後もあるし、適当なことはできないでしょ?そもそも、異性を好きになるって感覚がよくわからないんだよね、、」
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