女風に行ったら、モテ期がきた

安心できる場所

不安で眠れぬ夜を過ごしたものの、翌日から普通に出社した。

「顔色が良くないですよ?大丈夫ですか?」

高城君が心配して声をかけてくれた。家に変質者が入ったことは、上司にだけ報告して口止めしてあるので、誰も知らないはずだ。

「ええ、大丈夫です」

正直、取り繕う余裕も元気もない。

「何かあったら言って下さい。俺にできることなら、やりますから」

「ありがとうございます」

高城君が優しい。弱った心と体に染み渡るようだ。だが、甘えてばかりはいられない。

少なくとも、会社は安全だ。

そう、今の私はむしろ仕事をしていたい。なんなら、会社で寝泊まりしたいほどに。

無情にも定時で仕事が終了し、重い足を引きずるようにして家へ帰ってきた。

家中の電気をつけ、テレビもつけたまま。寝室には入りたくなくて、リビングのソファーで毛布をかぶる。

早く朝がきて欲しい、、

連日の寝不足のせいか、私はテレビを眺めながらうとうとしていた。

「カタン」

ベランダで何か音がした気がする。勘違いかもしれない。でも確かめることもできない。

「無理だ。無理。本当無理」

上着を羽織り、スマホと鍵を握りしめ、ダッシュで家を出る。

警察を呼ぶ?でも勘違いかも、、私は震える指でスマホを操作した。

「高城君?」

、、、、、。

駅前のファーストフード店で、高城君の到着を待つ。

パニック状態で電話した私は、まともに状況を説明することもできず、とにかく開いてる店に入って待つよう、高城君に言われたのだ。

どうして彼に連絡したかは自分でもよくわからない。でも今は、彼の連絡先を知っていたことに心底ほっとしていた。

「石川さん!遅くなってすみません!大丈夫ですか?」

高城君が現れて、私は体から力が抜けるのを感じた。

少し落ち着いて、簡単に事情を説明する。

「連絡してくれて良かった。でも、もっと早く相談してくれてたら、こんな怖い思いをさせずに済んだのに、、」

「ごめんなさい、、」

「とりあえず、石川さんの家に荷物を取りに行きましょう。狭いですが、落ち着くまでうちに来て下さい」

「え?そんな迷惑は、、」

「じゃあ、他に安心して眠れる場所はあるんですか?ないなら、拒否は受け入れませんよ?」
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