騎士団長サマ、そのエッチな本音が丸聞こえですっ!!
「そういえばそうだね。お休み被っているね」
「じゃあさ、一緒に選んでくれないか? 休みの日に付き合わせた礼に飯おごるよ」
「え、いいの?」

 と、頷きかけたその時。

「コリー、おまえにイトコの妹分がいたとは初耳だ」

 地を這う低い声がとどろいた。
 導かれるように二人同時に顔を向けると、これから人を殺りそうな形相のバーナードが佇んでいた。

「ひぃ」

 それはどちらの喉から出た呻き声なのだろうか。

 バーナードが大きな歩調で一気に距離を詰めた。背が高いと一歩が大きいのだと、どうでもいいことを考えた。

「おまえの家族構成は両親と兄と弟、そしてイトコは男が二人と十三歳、十五歳、十八歳年上の女性だったはずだが? 最近新しく生まれたのか? だとしたら香水はまだ早いだろう」

「えっと……よくご存じで」

 コリーが汗をダラダラ流しながら、それだけ言った。

『ちっ。私だってアマーリエをデートに誘うこともままならないのに、抜け駆けしやがって。こいつは常日頃からアマーリエの同期という立場で、いい友達ポジションをキープしているからな。しかもちゃっかりマリーなどと愛称で呼ぶ始末。くそ、私だってマリーとか、マリたんとか、略して呼びたいのに』

 マリーはともかく、マリたんはどうだろう。

『やはりこいつも夏の祭りのダンスの相手にアマーリエを誘いたいのだな。よし、ここは一つ、今のうちに……』

 心の声が凶悪さ三割増しになったようにも感じ取ったアマーリエは咄嗟に口を挟んでいた。

「ご、ごめん! コリー、今度の公休日は団長と一緒に、彼の又従兄の義理のお姉様の妹の旦那様の従姉妹の誕生日プレゼントを選ぶことになっていたの! 本当にごめん!」

 気がつけば咄嗟とはいえ、とんでもないことを口走っていた。
 とにかく、コリーとバーナードをこれ以上この場に居させたくない一心であった。

「そ、そっか。先約があったのか。じゃあまた次の機会にな」

 コリーはそそくさと立ち去って行った。
 ふう。危機は回避した。コリーの安全を確保でき、安堵の息を吐いたアマーリエのもとに、僅かに上擦った声が落ちてきた。

「ま、待ち合わせは何時にするか?」
「へ……?」

「公休日に又従兄の義理のお姉様の妹の旦那様の従姉妹の誕生日プレゼントを選んでくれるのだろう?」
「へ……?」

 ずいと顔を寄せられたアマーリエは、どうしようとだらだらと汗をかいた。
 いや、まさかバーナードが乗ってくるとは思わないではないか。
 というか、自分は彼と一緒に出かけることが嫌なのだろうか。

『沈黙されるということは……やはりアマーリエは私のことなど嫌いなのだろうか。分かっている。私はこの表情筋の動かない顔のせいで全世界の女性から恐れられているんだ』

 などという消沈した声に断ることなどできるだろうか。

「行きます!」
「ほ……本当か?」

「はい! ぜひとも、団長の又従兄の義理のお姉様の妹の旦那様の従姉妹の誕生日プレゼントを選ばせてください!」

「あ、ああ。よろしく頼む」
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