極悪人の抱き枕になりました。
☆☆☆

「昨日はありがとう。おかげでぐっすり眠れたよ」


翌朝6時頃寝室から出てきた伊吹がスッキリとした表情で言った。
夏波はホッとして微笑む。

顔の傷は相変わらず痛々しいけれど、眠れたおかげで体力も戻ってきたみたいだ。


「よかった。朝ごはんはどうする?」


質問しながら冷蔵庫を開けて、ウインナーも卵も使い切ってしまったことに気がついた。


「朝は食べないんだ」

「それじゃダメだよ。これからまた仕事でしょう?」


反論する夏波に伊吹が驚いた顔になる。
そしてふっと笑い出した。


「な、なに?」

「いや、そんな風に怒られたのは何年ぶりだろうと思って、少し懐かしかった」
< 18 / 52 >

この作品をシェア

pagetop