極悪人の抱き枕になりました。
「いい香りだ。すぐにでも眠れそうだ」


その声はすでにトロンとしている。


「明日は忙しくなるから、夏波もしっかり眠っておけ」

「明日なにがあるの?」

「夏波の新しい仕事用の物件を見に行く」

「えっ!?」


驚いて飛び起きてしまいそうになったが、ガッシリと抱きしめられていて動けなかった。


「私、働いてもいいの!?」

「なにを、当然なことを」


目を閉じたままで伊吹が笑う。
ずっとこの部屋にいて、ずっと伊吹のためだけにアロマを調合する。

そう考えていたのに。


「ありがとう!」


夏波が伊吹に抱きついたとき、伊吹はすでに寝息を立てていたのだった。
夏波はその寝顔を見て柔らかく微笑む。
今日、私は極悪人の抱き枕になりました。

それも、とびきり優しい極悪人です。

END
< 52 / 52 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:16

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

#自殺志願者募集

総文字数/69,748

ホラー・オカルト260ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
#自殺志願者募集 私と一緒に死にたい子 集まれ!
海姫物語

総文字数/36,953

恋愛(純愛)136ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「海姫物語」 幼い頃事故にあった私たちは海に浮かぶ孤島で暮らしている 私たちの存在はひた隠しにされ 世間から隔離される…
13日の日直当番

総文字数/2,885

ホラー・オカルト1ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「13日の日直当番」 その日の日直当番になった人には守らなければならないルールがあります。 ルールその1、日直ノートにある《お休みのお友達》欄に必ず書かないといけない名前がある。 その名前の子がクラスの中にいなくても、絶対に書かないといけない。 ルールその2、日直ノートの《今日の反省》欄には誰の名前も書いてはいけない。海底委のは『ごめんなさい』という言葉のみ。 ルールその3、日直ノートの《今日の授業》欄に書いた覚えのないものが書かれるときがある。その文字を発見したときは出席しているクラスメート全員で昼休み中に黙とうしなければならない。 それでは、頑張って13日を生き延びてください

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop