君は私のことをよくわかっているね

13.君は私のことをよくわかっているね

「誰だ、あの男は……」


 龍晴様がつぶやく。驚愕、恐怖、憤怒に感嘆――いろんな感情が見え隠れしている。
 周りの人間は天龍様のあまりの神々しさに言葉も発せられないらしい。ただ呆然とこちらを見つめていた。


「……っ桜華!」


 龍晴様はやがて気を取り直したように、わたくしのほうへ向き直る。それから、天龍様を鋭い目つきで睨みつけた。


「おい、命令だ。桜華を降ろせ。私に引き渡すのだ」

「お断りしよう」

「なっ……⁉ なんだと⁉ 私の命令を聞くんだ! 跪け! 私は皇帝だぞ!」


 生まれてこの方他人に逆らわれたことのない龍晴様は、ひどく憤った様子で声を荒げる。孝明ら宦官たちが困惑した様子でこちらと龍晴様とを交互に見遣る。天龍様は小さくため息をついた。


「そちらについてもお断りしよう。皇帝、それがどうした? 所詮はただの人間だろう」

「貴様! 今、なんと」 

「君は所詮、ただの人間だと言ったんだ。それに、皇帝というなら私もそうだよ。君たちが神の血と崇める天界のね」


 その瞬間、天龍様は白銀の龍の姿へと変貌を遂げる。風が吹き荒び、星々が瞬く。空気が、地面が震撼する。
 龍晴様は驚愕に目を見開き、宦官たちは恐怖のあまりその場に跪いた。


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