恋愛体質

足でまとい

「名刺持った?」

エレベーターホールで先輩の佐藤さんに言われた。

「あ、忘れました。」

私は慌てて取りに戻ろうと自席に向かおうとした。

エレベーターが開いた。

「下で待ってるから。」

「すいません!」

急いで席に戻りデスクの引き出しをあさった。電話中の同僚達がちらりとこちらを見た。

「どうしたの?忘れ物?」

リーダーの保坂さんが私を見て言った。

「名刺忘れて。」

苦笑いしながら私は保坂さんに答えた。

「まったくしょうがない子ねえ。何しに行くのよ。」

呆れ顔で保坂さんが言った。

「ハンカチ持った?ティッシュは?トイレ行った?お財布持った?」

私をからかって言う。後ろで課長が笑っていた。

「はい。大丈夫です。」

ニヤニヤしながら私も答えて出ようとした。

「名刺の追加印刷依頼はしてあるの?」

保坂さんに言われた。

「あ・・・」

全然考えてもいなかった。

「とにかく行って。私やっといてあげるから。」

「すいません。行ってきます。」

「はい。いってらっしゃい。頑張って。」

私は急いでエレベーターに向かった。
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