いつも側にいてくれたね


その日の部活が終わった帰り道、私と綾乃が話しながら歩くすぐ後ろにいる直生から坂野くんのことを聞かれた。

「夏芽、今朝の告白された返事はどうしたの?」

「どっ、どうしたのって。直生はどうして告白されたって分かるの?」

「そりゃ分かるでしょ」

直生はそう言うと綾乃と顔を見合わせて、2人で頷いている。

「えっと、返事は保留にしたよ。坂野くんって人を少し知ってみようと思うの」

綾乃に『私は直生と遥生しか男を知らない』と言われて、私は直生と遥生がいてくれたから今まで他の男の人のことは目に入ってなかったことに気付いたんだ。

きっとこのままじゃダメなんだろうな、って思ったの。

だから坂野くんのことを知ってから告白の返事をしてもいいんじゃないかなって。

「そう、なんだ。その坂野くんがいい男だったら僕は夏芽の恋を応援するよ」

直生は私が返事を保留したと言ったことに対して応援してくれるって言ってくれた。

その直生の予想外の言葉を聞いた綾乃が固まった。

「直生、それ本気で言ってるの? 夏芽が坂野と付き合うかもしれないんだよ?」

綾乃が信じられない、と言うように直生に少し詰め寄る。

「本気だよ。僕は夏芽が幸せになってくれたらそれでいいんだ。でも、少しでも夏芽を悲しませるような事があったら僕は坂野くんに容赦しない」

直生は少し怒ったように綾乃に答えた。

それは綾乃に対して怒っているんじゃないって事は綾乃も私も感じていて。

それでも直生が感情を出すのは珍しい。

一度も怒ったことがない、優しい直生しか私は知らない。

直生のその時の態度に違和感があった。

そして、直生から坂野くんと付き合ってもなんとも思わないと言われたような気がして少し淋しかった。


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