いつも側にいてくれたね


それでも遥生に言われた通り夕飯をたくさん食べて、億劫だけどお風呂に入る。

お風呂から出て部屋に入りスマホを見ると遥生からメールが入っていた。

≪今から少しだけ夏芽の部屋に行ってもいいか?≫

いつも来る前に連絡なんてしてこない遥生なのに珍しい。

≪いいよ。待ってるね≫

そう返事をした後、なぜかソワソワして。

いつもならパジャマ姿で会っても平気なのに、それじゃダメなような気がして。

あれ? 何を着て遥生を待てばいいんだろう。

とりあえずパジャマはダメだよね、着替えよう。

そう思ってパジャマを脱いで、着る服をクローゼットから探していた時に、よりによって遥生がドアをノックせずに私の部屋に入って来た。

「なーつめっ。ちゃんと飯たくさん食っ・・・えっ?」

「えっ? 遥生?」

「・・・。」

「・・・。」

『きゃあぁぁぁっ』

私は咄嗟に脱ぎ捨ててあったパジャマを掴み、前を隠した。

「やだ! 遥生、なんで入ってくるのよ。出てって」

そう言いながら遥生を廊下へ追い出してドアを閉めた。

いつもいつも遥生にはドキドキさせられっぱなし。

今回のは違う意味でのドキドキなんだけど。

遥生はドアの向こう側でドアに背をつけて、私はドアの内側に背を付けて気持ちが落ち着くのを待った。

「は、遥生。今、何か見た?」

「いっ、いや。何も見てない」

「そうだよね。本当に何も見てないよね」

「ああ。夏芽のピンクのブラなんて見てない」

うっ、私もうダメじゃん。

勝負下着とかじゃないじゃん。

・・・そんな下着持ってないし。


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