いつも側にいてくれたね
「夏芽、浮気しない?」
「なっ、何言ってるのよ遥生。そんなことしないよ」
「絶対?」
「うん、絶対にしない」
頭が良くて毒舌で冷めた感じの遥生が、どうしちゃったの。
「夏芽・・・」
私の名前を呼ぶと遥生は抱きしめていた腕を解いて私の顔を真っ直ぐに見た。
私はドキドキしていた。
えっとこれってさ。
キス、されちゃうの?
「ぶっ!!」
ん? 遥生が吹き出した?
「夏芽、いま何か勘違いしたでしょ」
「えっ?」
「夏芽が修学旅行で浮気しなかったら、その勘違いをしてやるよ」
やだ、恥ずかしい。
私、恥ずかしい勘違いをしたの?
「遥生なんて大っ嫌い! いいもん、浮気して遥生のこと振ってやるんだから」
「夏芽にそんなことできるかよ。こんなに俺のこと好きなのに」
どれだけ上からなのよ、遥生。
なんかムカつくけど、それ当たってるよ。
私は遥生のことが好き。
こうしてじゃれ合っている時間も大事にしたいって思ってるんだよ。
さっきは遥生に引き寄せられて遥生にギュってされたけど、今度は私から遥生の胸の中にそっと顔を埋めて遥生の背中に手を回した。
「遥生、私浮気なんてしないから。だから、旅行から帰ってきたらね、勘違いを、その、して・・・ほしい」
きゃあ。
言っちゃった。
超はずかしい。
「なっ・・・・夏芽? ああーーっ、本気で熱出してよ、夏芽。俺、もう色々無理」
「なによ、無理って。ほんと遥生ってひどい」
「そうじゃねーよ。そうじゃないけど、やっぱ無理。俺、これ以上ここにいたらやばい。帰るわ、夏芽。またな」
そう言って遥生は私の肩を優しく押して遥生の体から私を離した。
その時の遥生は片手で顔を隠していたけど、その顔は赤くなっていたような気がした。