奇跡をくれた君へ




――さっきはありがとう。おかげで友達と仲直りすることができたよ

――よかった、ちゃんと話せた?

――うん、木島くんのおかげでね

――立原さんが、頑張ったからだよ


いつもと同じように、早くメッセージが返信されてきた。木島くんの温かい言葉に、胸が脈打った。

咲との会話が思い出される。


「芽生はさ、その木島って人と会おうとは思わないの?」

「うーん、今はメッセージのやり取りだけでいいかな」

「今は、ね」


そう言って咲は、ニマニマしながらこちらを見ていた。

咲に言った時は、本当に会わなくてもいいと思っていたけれど、さっきのメッセージを受け取って、直接お礼をしたいと言う気持ちが出てきていた。いや、それは単なる言い訳に過ぎなくて、ただ会いたいという気持ちが溢れてきただけなのかもしれない。

今連絡しなかったら、おそらく一生誘えないと思って、勢いのままにメッセージを送る。


――今度、どこかで会えないかな。今までのお礼をしたいです


思わず敬語になった。すると、今まですぐに返ってきたメッセージが来なかった。

失敗した。気持ちに任せて送ってしまったから。咲の件であんなに反省したと言うのに。急に会いたいなんて言って引かれてしまったのだろう。

後悔に包まれていると、ブブっとスマホの振動が手に伝わってきた。慌てて画面を見る。


――いいよ、いつにする?


その文字を見て、一瞬にして叫びたをしてしまいそうな高揚感が溢れ出てきた。さっきまであんなに憂鬱だったのに気持ちって不思議だ。世界がこんなにもキラキラし始める。

嬉し過ぎて、その日は簡単に寝付くことができなかった。
 
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