没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
ハーヴィもフィリシティの母がクランドンの出だということは知っている。
けれど侯爵令嬢として参加ということは…もしかして手の届かない人に…なってしまったということか…。

ローマンは三大公爵家の嫡男。自分が太刀打ちできるような人物じゃない。

「では失礼します」

フィリシティが少し元気がなさそうなのが気になったが、公爵家が相手なら、あきらめるしかないじゃないか。

幼き頃からの恋心はそう簡単に諦められるものじゃない。

だけど…

ハーヴィはフィリシティを見送った後も警備を続けながら夜の空を眺めた。


この夜はハーヴィにとってはやるせなさでいっぱいの警備となったのだった。
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