没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
「ふむ…」

レオンはクランドン侯爵邸の庭の大きな木を目の前に立っていた。

ローマンは今までにも月に1度クランドン侯爵家を訪れていた。それに先日、夜会にフィリシティをエスコートした。だからローマンがフィリシティのもとを訪れても何らおかしくはないはずだ。

最初からリッチモンドを欺くために用意周到に計画されたこのクランドン侯爵家訪問計画は見事に成功した。

レオンは見事にローマンの御者に変装し、クランドン侯爵家に入ったのだ。

「これが、その木なのだな」

「はい」

フィリシティがレオンを木の下まで案内してくれた。

間違いない。魔力を感じる。

「この木には魔力が宿っている。だから枯れないんだ」

「やはりそうでしたか」

「魔力?ですか?」

ローマンは涼し気に納得しているが、フィリシティはまじめに驚いている。
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