没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
『ハーヴィ・エドワーズ』

フィリシティより1つ上の19歳。エドワーズ伯爵家嫡男で、ロジャーズ伯爵家と領地が隣り合わせだったこともあり、小さいころから知っている幼馴染だ。

昔は2人とも領地でのびのびと育てられたから、2人でいつもくたくたになるまで野山を駆け回って遊んだ。
10歳を超えるころからはお互いに紳士淑女の教育がはじまり、そのころはじめて、性別が違うのだと意識しはじめたくらいで、お互い歳の離れたきょうだいしかいなかったから、性別を意識することもないほど仲がよかったものだ。

けれど、フィリシティの母親が亡くなったころから、エドワーズ家は事業が軌道に乗り始め、それにひきかえ父親が借金を作り不穏な空気が流れ始めていたロジャーズ家との格差が目立ち始めてからは、ハーヴィはあまりフィリシティと付き合わないよう言われているのか、顔を見せなくなった。

2年前に、王都の近衛兵の試験に合格したからと最後にフィリシティに『手紙を書くよ』と会いに来てそのまま王都へ旅立っていったのだ。
< 27 / 265 >

この作品をシェア

pagetop