没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
4.幼馴染と再会
来てくれるかなぁ…。

フィリシティは待ち合わせ場所の噴水前で前の洒落た店のショーウインドウに映った自分の流行おくれの服を見てげんなりし、さらに、行きかう人々の垢ぬけた姿を見てため息をついた。

王都という最先端の街の中で自分がいかに浮いている存在なのかという事実を思い知らされる。

一刻も早くここから去りたい気分だわ…。

もう見るのはやめようとショーウインドウから視線をそらし、俯いた時だ。

「どうしたんだよ。フィル。ため息ついちゃって」

「ハーヴィ!」

頭上からよく知っている声が聞こえてきて、目の前にふわりといい香りがして顔をあげた。

よかった。ちゃんと来てくれた。

来てくれたことへの喜びも束の間。
2年ぶりに会った幼馴染の男を見て、あまりに昔と変わっていて自分がここにいることがはずかしくなった。

洗練されてる…。
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