没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
「では、今日は嫌なことがあったのだな」

「え?」

図星ではないか。

「ここに来たということはそういうことだろう?」

「ええ。まぁ…そうですね…」

途端に歯切れが悪くなる。

「じゃぁ叫べばいい。俺はかまわないぞ。ここで見ている」

「え?けれどそれはさすがにはずかしいです。あなたが見ていらっしゃというのに…」

「じゃぁこうしよう。君が叫んだあとに俺も叫ぶ。それであいこだろう?」

「ほんとうに?」

「君が叫び方を教えてくれたらいい。俺も同じようにやるから」

女は意を決したように崖の前に立った。
そして大きく息を吸い込むと、本当に叫んだのだ。

「お父さまの愚か者ーーー!だまされてばっかりなのはうんざりなのよーーーー!ハリーの教育資金はどうするつもりなのーーーー!」

本当に大声で叫ぶと、はーはーと肩を上下させている。

すごい…
その女の迫力にゾクゾクした。
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