没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
9.王城よりの勅使
「姉さま。。王都から勅使が来ています」

「え?」

母の形見の首飾りが思っていたよりさらに破格の価格で売れたことで、借金を返しさらに貯金ができた。
母の遺言通り、あの首飾りを王都のしかるべき商人に売れたことで肩の荷が下りてほっとしたフィリシティだったが、決して父親には貯金の話はせず、王都の銀行にこっそりと預けてある。
ハンナ叔母が取引している銀行を紹介してもらい、そこに自分名義の口座を作った。本当はハリー名義にしたかったが、ハリーはまだ成人していないので無理だと銀行から断られてしまったためだ。
今後何かあったときのためには1年くらいは暮らしていける金額だ。
おかげでフィリシティの心も少し余裕ができたため、最近はマーシの丘で叫ぶことも減っている。

父親は母の形見を売らなければならなかったことが相当ショックだったらしく、今は大人しく農作業に精を出していた。
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