没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
10.王城に滞在する
暇すぎてどうにかなりそう。

王城に連れてこられたからには調査のために毎日調査官に呼ばれたりするのだと思っていた。
だいたい何の調査なのか想像もつかなかったが、調査と言われたのだから何か取り調べを受けるのだとふんでいたのだ。

けれど、3日前に王城に入ってから、何も音沙汰もなく、豪華な客間に押し込められたままだ。

「マリアンヌ様。そろそろ失礼いたします」

「ありがとう。リンド。ゆっくり休んでね」

フィリシティ付の侍女だとやってきたリンドという同じくらいの歳の女の子がここでの世話をしてくれている。
だが、フィリシティという名前をつかってはいけないと言われ、偽名であるマリアンヌを名乗るよう言われた。

「はい。ありがとうございます」

深く頭をさげて、部屋を辞していく。

王城の侍女というのは教育を受けているだけあって、すばらしい対応だと感心する。
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