モブA子と王子様の友達
ゲーム
「もうちょっと右!」
「いや左でしょ。」
「え、え、どっち?!」
「右だよ右!」
「左の方がいい。」
「わかんないよぉ〜、、」
只今クレーンゲーム中です。
一条くんが見つけたのは隣接したゲームセンターでした。
建物丸ごとアミューズメント施設の大きいゲームセンターです。
私がクレーンゲームであまり獲れたことが無いと言ったら2人がアドバイスしてくれることになったのですが、、、
「なんでよ!左だとどう考えてもぬいぐるみの位置がズレて掴めないじゃん。」
「あのねぇ、どうせアーム弱いんだから左から頭を押した方がいいんだよ。」
見事に2人のアドバイスが正反対でした。
ど、どうしよう?!
「あ、あの〜、2人とも、、」
「力弱いなら押すこともできないでしょ?」
「えっと、、」
「なら掴むのは絶対無理だね。」
「ちょっ、、、」
2人はクレーンゲームを見ながら淡々と話す。
せっかくみんなで楽しい日だったのに、、
、、、ちょっと、ほんのちょっとだけ、、、、ムッ。
「もうっ!2人とも落ち着いて!!!」
「「?!」」
「楽しいゲームでケンカはダメ!!!」
思わず大きい声、出しちゃった。
反動で息が乱れる。
「ご、ごめんね。ギスギスして。」
「ごめん、別にケンカって程でもなくて、、。」
2人がオロオロと意味もなく両手の平を私に向けながらパタパタさせてる。
慣れないことをしたので頭がわ〜〜っとなって、
「もうここでいいや!えいっ!」
勢いでクレーンゲームのボタンを押した。
軽快な音楽と共に下降するアーム。
すると片方のアームが体を押し、もう片方のアームが頭を掴み引っ掛ける様にぬいぐるみを動かした。
アームが上がると共にぬいぐるみが大きくズレ、落とし口に。
「「「落ちた!!」」」
「やったぁ!!」
「え!スゴっ!モブちゃんすげー!!」
「アドバイスいらないじゃん!」
景品のネコのぬいぐるみを取り出しワッと3人で丸くなる。
初めて獲れた!嬉しい!
「あ、、さっきは大きい声出してごめんね。」
「いいよいいよ、俺達も周りでわーわー言ってごめんね。」
「モブちゃんが気にすることないよ、ゲームセンターはいろんな音大きいからみんな自然と声大きくなっちゃうしね。」
よかったぁ、私のせいで2人が揉めちゃうなんて嫌だもん。
「よし!お詫びにパンダくんがあっちのパンダのぬいぐるみを獲ってみせよう!」
「じゃああっちの大袋のお菓子獲ってくる。」
もしかして2人共、ゲームセンターが大好きだったりする?
思い返すと、ノリノリでゲームセンターに向かう姿もクレーンゲームでムキになる姿も少し子供みたいで、いつも私より大人に見える2人がなんだか可愛く見えた。