ハイドアンドシーク
ロサンジェルス



野暮用を済ませ寮に戻ってきたとき、共有スペースから何やら楽しげな声が聞こえてきた。


どうやら、あいつもそこにいるらしい。

男にしては幾分か高く、透きとおった声が交ざっていた。




「聞いてくださいよ統理さん!こいつの作るマリオメーカー、絶妙にムズいんっすよぉ〜〜!!」

「そこドッスンあるよ」

「あ"あああ"なんッで下からくんだよおかしいだろ!!ドッスンは上から落ちてくるからドッスンなんだよ覚えとけ鹿嶋ァ!!」



ラウンジに寄ってみれば、思い描いていた通りの光景が目前に広がった。

金の使いどころを間違えているとしか思えない馬鹿でかいテレビ。

その前に集まって、ゲームに興じている集団の真ん中に、れんがいた。



「いてえええええ!!誰だいま後ろから俺のケツ赤甲羅でしばいてったヤツ!!」

「あ、ごめん。ちょうど進行方向にいたから」

「てめーから殺してやるよ鹿嶋ァ!!スターこいスター!!統理さん俺に力を!!」

「あっずるい!東雲さんはわたしのだもん!!」

「おまえ興奮したらたまに女口調になんの何!?やめろってまじで!脳が女だと勘違いして手ぇ抜いちゃうだろが!」



こいつらがバカでよかった。


いや、よくねえな。

なんもよくねーわ。




……ほら、またあいつ。


俺には見せたことねーような顔してる。


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