ハイドアンドシーク


誤魔化すようにお弁当のおかずを適当に一口。



「……え、おいしい!」

「だろ」

「いやっほんとに冗談抜きで!さすが北国、この銀鮭すんごいホクホクしてるし脂ものってて──、」



語っている途中で、はっと正気に戻る。


食事中にうるせーなこいつって思われちゃったかも。

というか絶対思われた。


わたしはどこまで自分の株を下げれば気が済むのか。

今からでも入れる保険はあるのだろうか。





「……鹿嶋、お前いま何が好きなわけ」


もっと上品に、大人しく、黙って食べよう。

そう決意した途端に話しかけられ、白米の上に鮭をぼとりと落としてしまう。



「……、それって食べ物限定?」

「じゃなくてもいーけど」

「えっと……」

「…いや、別に無理して──」

「っあま、甘いものが好き!羊羹とかお饅頭とか特に。あとはスタミナつくもの……うなぎとかお肉、とか」


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