ブラスバンド! 〜青春は吹奏楽部で〜

第3章 私の演奏とみんなの演奏

 優夢たち1年生が吹奏楽部に正式入部してから数日が経ち、コンクールに向けての曲練が始まる。優夢の楽譜は結構複雑だ。
 というのも、管楽器は自分の楽器だけを演奏するが、打楽器は1曲で色んな打楽器を担当しなければならない。だからどうしても複雑な楽譜になってしまうのだ。それに、何も考えずに楽器を配置するのも、楽器間の移動が間に合わなくなるからダメ。やっぱり打楽器には管楽器の人には伝わらない難しさがある。
「あ、優夢ちゃん、重い楽器を運ぶの手伝ってくれない?」
 穂香ちゃんが声をかけてきた。そう。打楽器はティンパニや大太鼓など、重い楽器が多い。曲練をする時は、これらの重たい楽器を運ばないといけない。これもかなり厄介(やっかい)だ。
「分かりました! 何の楽器を運びますか?」
「じゃあ、まずはティンパニから運んでいこうか!」
「オッケーです!」
 今日はパーカッションの唯一の男で力持ちの陸斗さんがお休みだから、楽器を運ぶのがいつもより大変。
 なんとか楽器を運び終えたら、ここからは曲練。優夢は楽譜を見ながら、楽譜通りに曲を演奏していく。やっぱり音階のない打楽器は曲全体の“装飾”といったイメージのため、それを担当する優夢の演奏だけではどうしても曲という感じはないが、管楽器のパートと重なることで曲が引き立つのだろう。今からみんなで演奏するのが楽しみだ。
 その後は少しパートで曲を合わせて、基礎合奏をやり、全員で曲を演奏する。
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