ブラスバンド! 〜青春は吹奏楽部で〜
 まだ今のところ全員で合わせるのは、曲の最初の部分だけだが、ちょっとずつ練習する部分を増やしていく。だから曲を通しで合わせられるようになるのがすごく楽しみだ。
 数日後。最近は曲をほぼ全て全員で合わせるようになってきた。今ではパーカッションの音が管楽器の音を引き立てて、心地よいハーモニーが奏でられていく。
 でも……やっぱり個人個人で音に対する課題を持っている。実際優夢も、ロールのときに打面を叩く回数が、その時その時で変わってしまう。それだと毎回音がズレてしまい、いい演奏とは言えなくなってしまう。だから今の演奏をより良い演奏にするには、打面を叩く回数を揃えなければならない。
 管楽器のパートも、息の吹き加減などが中々に厳しい様子だ。それよりも……もっと(ひど)いものであれば、パートごとに音がズレて、きれいに音が重ならないことがあることだ。みんなで音を合わせることがこんなにも難しいことだとは思っていなかった。こんな演奏では、コンクールになったとき、絶対に良い演奏ができるはずもない。今はまだ5月の中旬なので、コンクールまではあと2ヶ月半ほどだ。それまでにこの演奏を改善していかないといけない。
 その後も何回かやってもやはりこれまでと同じように、多少音がズレてしまう。何回かに一回くらい、きれいに揃うことはあるのだけれど……それはかなり稀な方。1回成功するとまた失敗が続いてしまう。個人の曲練など、一人ではうまくいくのにみんなと音が重なった瞬間に自分の音が崩れてしまう……それが優夢の大きな弱点だ。
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