ブラスバンド! 〜青春は吹奏楽部で〜

第1章 4人のワケともう一人

 次の日、優夢は今日も吹奏楽部の部室に行く。美空と友唯は、「体験入部期間中だし、せっかくなら別の部活も見に行く」って行ってしまった。
「なんで私だけなんですかね?」
 ちょっとした愚痴をこぼしつつも、部室への階段を上っている。
 部室に入ると、案の定、弘樹が近寄ってくる。
「ねえ、昨日一緒にいた2人は!?」
「今日は別の部活に行くって言ってました。」
「え!? それって吹奏楽部には入らないってこと!?」
「いや、美空は吹奏楽部に入るらしいですよ? もう一人の友唯はまだわからないですが……」
「そうか、そうか。とりあえず安心だ。 で、それでも3人だよな? あと一人は?」
「いや、まだそんなすぐに見つけられるわけないじゃないですか。 ついでに質問ですけど、なんで4人っていう中途半端な人数なんですか? 5人とか、キリの良い人数じゃダメなんですか?」
 さりげなく聞いてみると、弘樹は口を開く。
「4人のワケか? それなら……
 実は今、吹奏楽部が廃部になるピンチなんだ。というのも、今の各学年の所属人数なんだが、3年生が13人、2年生が9人なんだ。で、うちの学校は、3年生が引退したとき、人数が半分未満になると廃部になる。だから今年、4人の1年生が入らないとこの部活は廃部になる。もちろん多ければ多いほど嬉しいがな。それに、優夢的にも多いほうが楽だぞ?結局来年も同じようなことになるからな。要は今年4人入ったら、来年は5人入れないといけないことになる。」
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