婚約破棄されたので、好きにすることにした。
「移民がたくさんいるって聞いたから、王都から出るのもそんなに難しくないと思っていたのに」
王都には他国からの移民がたくさんいて、治安の悪い場所もあるから危険だと、屋敷に勤める侍女たちが話していた。
「……その辺りは少し複雑でね」
もともと騎士だったエーリヒは、そう言って難しい顔をする。
「栄えている王都に、仕事を求めて集まる移民も多い。王都に入るのは比較的簡単だが、自由に出ることができるのは、国籍を持つ者だけだからね」
「そうなんだ」
記憶を辿ってみたが、その辺りの事情は、クロエも詳しく知らなかった。
この国の王都は、出入口が別々になっている。
入り口はそれほど厳しい制限がなく、正規の身分証明書がなくとも、商人や冒険者の恰好をしていれば、簡単に入れるという。
その分、出口は厳しく取り締まられていた。
それは、この国にまだ奴隷制度があったときの名残のようだ。
この国は、身分の差にとても厳しい。
一番上は、当然のように王族であり、次に貴族、そしてこの国出身の人間。
王都には他国からの移民がたくさんいて、治安の悪い場所もあるから危険だと、屋敷に勤める侍女たちが話していた。
「……その辺りは少し複雑でね」
もともと騎士だったエーリヒは、そう言って難しい顔をする。
「栄えている王都に、仕事を求めて集まる移民も多い。王都に入るのは比較的簡単だが、自由に出ることができるのは、国籍を持つ者だけだからね」
「そうなんだ」
記憶を辿ってみたが、その辺りの事情は、クロエも詳しく知らなかった。
この国の王都は、出入口が別々になっている。
入り口はそれほど厳しい制限がなく、正規の身分証明書がなくとも、商人や冒険者の恰好をしていれば、簡単に入れるという。
その分、出口は厳しく取り締まられていた。
それは、この国にまだ奴隷制度があったときの名残のようだ。
この国は、身分の差にとても厳しい。
一番上は、当然のように王族であり、次に貴族、そしてこの国出身の人間。