私の彼氏,ちょっぴりクズっぽい,です。
「ひ……」
「ひ?」
「ひ,び……き………くん」
「はいだめ失格~。それじゃ違うよ,桃花」
だめじゃん,と。
響くんは無駄に楽しそうに笑う。
もう一度は声に出せそうになくて,私は響くんの座る椅子に近づいた。
そっと,響くんだけにしか聞こえない音量で
「───」
1人で呟くように囁く。
耳が赤く熱を持っていた。
ふはっと,驚くように見開いた響くんは,何がおかしいのか笑う。
「100点だよ,とーかちゃん。真っ赤になっちゃって,かわいい。誰もいない時は,明日になってもちゃんと続けるんだよ」
まるで今日このあとも当たり前にそう呼んで,寝ても忘れるんじゃないとただ強調されたような錯覚をする。