ヒスイのさがしもの
壁だと思っていたところを這うツタが、突然カーテンのように開く。
するとそこには、ブレザーの制服を着た女の子が座りこんでいた。私と同じ、中学生なのだろうか。なかなか見かけないくらいの明るい茶髪のショートカットだ。
「あーーたっ、助けに来たの!?」
女の子の瞳は期待に輝いた。その周りは赤く腫れ、たくさん泣いた後だということがわかる。すぐに女の子の視線は私からパセリの神様に移り、瞳から希望の色が消えた。
「ほら、ね。お友達よ」
「……その子も、捕まえたの?」
女の子は憎しみの目をパセリの神様に向ける。強気な口調だ。
「捕まえたなんてひどい言い方ね。招待しただけでしょう」
「あの落とし穴が、招待? 神様のやり方って本当、強引。だから嫌いなんだよ」
穴に落ちたとき、まるで落とし穴だ、なんて思ったけれど、まさか本当に落とし穴だったなんて。
「まだ私を嫌うのね? 悲しいわ。でもほら、お友達とは仲良くしなさいね。この子はわたくしの料理をおいしいと言ってくれたのよ」
「おいしいってーーあんた、食べたの!?」
女の子は勢いよく私に問う。なんだかまるで、料理を食べたのがとんでもなく悪いことのようだ。
「たっ、食べちゃった、けど……?」
「バカ! よもつへぐいを知らないのか!」
よもつへぐい……? なんだかどこかで聞いたことがあるような気もするが、思い出せない。