ヒスイのさがしもの



「なんだっけ、それ……」

「あの世のものを食べたら、もう帰れなくなるんだよ! もう手遅れだよ、あんた。なんてバカなことをしたの」


 ……そんな。そんなの、聞いてない。いや、もしかすると、パセリの神様はわざと教えなかったのかもしれない。私をここに閉じ込めたかったんだから。

 大変なことをしてしまった。ただでさえ帰れないかもしれない状況だったのに、悪化した。料理を食べたばっかりに、私が元の世界へと帰れないのは確定らしい。

 思わずその場にくずおれる。私は死ぬまで、帰れないのかも。そう思った途端(とたん)に、身体中の力が抜けた。絶望、その単語ひとつが頭の中を支配する。


「大丈夫よ、安心して」


 パセリの神様が私の背中を優しく撫でる。あなたにそれを言われても、安心できるわけがない。


「これからみんなで暮らすのよ。仲良くしましょうね」

「よもつへぐいも知らない奴と仲良くなんてしない! 私を解放しろ!」

「あらあら、またそんなこと言って……お行儀が悪い」


 パセリの神様は呆れたような声色で、手を軽く振る。するとどこからともなく飛んできた葉が、女の子の口に張りついた。


「んんーーー!」


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