ヒスイのさがしもの
声の方へ振り向くと、天井にあたる部分の木々の枝がバラバラと落ちてきた。それに続き、飛び降りたトウマが枝の上に立つ。
「あらあら、お呼びでないお客様ね……」
「その人間は、俺のだ。返してもらう」
トウマは私の方を指差して、パセリの神様にとんでもないことを言い放った。
「お、俺のってーー」
「ここでは俺のってことにしとく。って、さっき決めた。それとも他の神様のところに行くか?」
神様にはもう、こりごりだ。食べようとしたり閉じ込めようとしたり。首を横に激しく振る。
「困るわね。人間さんの食事はみんなで食べた方がおいしいって聞いたから、せっかくかわいらしい人間さんを二人も揃えたのに」
パセリの神様の視線を追うように、トウマは女の子ーー名前は紅、というらしいその子を見る。それから、小さなため息をついた。
「ヒスイ、お前……待ってろって言ったのに。また余計なことに首を突っ込んだな?」
「そんなつもりじゃ……」
「ハイハイ。とにかく行くぞ」
トウマは、出ていくぞと言うように天井の穴を指差す。しかし私は、すぐにそれに従うことはできなかった。
「待って、私じゃなくてあの子を連れてって」