いらっしゃいませ幽霊さん

　ふと窓の外をみると、もうすでに小雨が降っていた。もうじき大雨になるだろう。
　姉が死んだ日も雨の日だった。あの日も私は窓の外をただぼんやりと眺めて、姉の帰りを待っていた。大雨なのに自転車なんかに乗るから…。こんなことを考えたって姉が戻ってくるはずもないのに、毎日何度も何度も考えた。

「よっしゃー！早帰り〜」
天気予報では午後から大雨だったのに、午前のうちに雨が激しくなり、生徒は急遽下校となった。帰っても特にやることはないし、学校にいてもやることはない。毎日学校に行って、1人でぼーっと過ごして、家に帰ったら1人でやることをやって寝る。そして起きたらまた学校へ行く。こんな人生何の意味があるのだろう。そんなことを思いながら傘をさす。激しい雨が打ちつけ、うるさくて、なぜか心地よかった。

　今日は帰り道とは違う方向に行くことにした。雨はもっともっと激しさを増す。風が強くなってきて、傘を閉じた。全身に雨が打ちつける。