身代わり婚約者との愛され結婚
「旦那様は本日の貴族会議の後奥様とメーンバイル伯爵様主催の夜会に出られる予定でございます」
「そう、なら話をするなら明日ね。ジョバルサン、明日の夜お父様の予定を押さえておいて」
「かしこまりました、お嬢様」

 さっと頭を下げたジョバルサンがそのまま下がる。

 
「本日はお疲れでしょう。いつもより少し熱めの湯をご用意いたします」
「ありがとうハンナ」
「婚約破棄に使われる書類は寝室に運ばれますか?」
「えぇ、お願い。ジョバルサンが用意してくれた書類ももう一度確認したいからそれもお願い」
「はい、お嬢様」

 こくりと頷いたハンナは、私の上着を受け取り私の後ろに待機した。


“ここからが踏ん張り時よ”

 ベネディクトとの婚約を決めたのは私だ。
 だからこそ、私が自分で後始末をしなくてはならない。

「やることは、沢山あるわ」


 次レヴィンと顔を合わせる時、笑顔で向き合えるように。


 私は一歩を踏み出したのだった。
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