身代わり婚約者との愛され結婚
「ちゃんと心から愛し、そして愛される結婚を」
「そうするわ。ありがとう、ハンナ」


 ベネディクトとの婚約は破棄出来た。
 そして私は公爵家を継ぐと決めている。

 レヴィンと結婚するには、彼に婿入りして貰わなくてはならない。

“クラウリー伯爵家のスペアであるレヴィン……”


 我が家のように子供が一人しかいない場合は例外だが、貴族である以上いざという時のために、必ず『スペア』という存在は必要だろう。

 レヴィンがベネディクトのように三男ならば問題はなかったのだろうが……


「でも、待ってるって約束したから」

 私に出来るのは待つことだけだから。


 全てが解決し、元婚約者の身代わりだった彼と想い合って結婚できるその日を夢見て、私はいつまでもハンナの温もりに身を委ねたのだった。
< 171 / 269 >

この作品をシェア

pagetop