身代わり婚約者との愛され結婚
“レヴィンが、私のために動いたとすれば?”

 決してあり得ないことではない。

 だってレヴィンは、自身のことを『当事者』だと言い、そして『何があっても』と念を押していたのだから。


“ニークヴィスト家へ送った手紙の返事がやたらと遅かったのは、クラウリー家とニークヴィスト家で先に話し合いが行われていたから……?”

 それならば、あのニークヴィスト侯爵が私に慰謝料の話を持ち出さなかったことにも納得出来る。
 きっと慰謝料をクラウリー家が持つことで話し合いが成立していたのだろう。
 

――そして、その慰謝料が。

「通行料の値上げ……?」

 
 慰謝料として一度だけお金をがっつり貰うより、通行料を値上げし半永久的に高額を貰い続ける方が結果的には得。

 花栽培で生計をたてているクラウリー領は、生花という性質上必ずニークヴィスト領を通る。
 
 もし通らない道を選べば必要以上にかかった日数で商品はダメになり、しかし出荷しなければ収入がなくなり貧困に陥る。

 万一貧困に陥った場合はクラウリー領ごとニークヴィスト家が吸収すれば丸儲け。
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