身代わり婚約者との愛され結婚
 拍子抜けだった、なんて軽く考えていた過去の自分を殴りたい。

 私の平穏がレヴィンの犠牲で成り立っているなんて思わず、そして今日観たオペラの内容と重なる。


 禁忌だとわかっていながら、自らが破滅すると知りつつ騎士に手を貸した女神様はどんな気持ちだったのだろう。

 それも、周りを巻き込んで……



 そこからどうやって家に帰ったのかはわからなかった。

 呆然とし支えられるように部屋まで戻った私は、顔色が悪いからと帰ってすぐ寝室に放り込まれていて。


“何もやる気が起きない……”

 苦しくて、悔しくて、悲しくて。
 辛くて堪らず、指一本動かせる気がしない。


「どうして私はいつもこうなの」


 予兆はあった。
 
 あの厭らしいニークヴィスト侯爵の笑みの真意に気付けていれば。

形だけですらならなかったが、それでもベネディクトという婚約者がいたにも関わらず身代わりの彼に恋をしたことも間違いだった。
 
 そもそもベネディクトと婚約をしたことも過ちだ。


 いや、それよりもっと前、根本的に。


「私が生まれて来なければ……」

 そうすれば母が体を壊すこともなかった。
 体を壊さなければ、これだけいつも仲睦まじい夫婦なのだ。

 跡継ぎに必ず恵まれる。


 そう、全て私が原因で――


「うぅ……っ」
< 182 / 269 >

この作品をシェア

pagetop