身代わり婚約者との愛され結婚
 レヴィンが折角関係ない現状を作ってくれたのだ。
『当事者じゃない』からこそ本当の『噂話』が聞ける。

“何が現状を打破するキッカケになるかわからないもの”

 火のない所に煙は立たない。

 私は今日、こういった噂話を集めるために来たのだから。

 
「クラウリー伯爵家がどうかなされましたの?」

 バクバクと鳴る心臓をなんとか誤魔化し、そう口にする。
 手が震えているのがバレないように、出された紅茶を飲むのは諦めた。

 そんな私には誰も気付かなかったのか、彼女たちがなんでもないように口にしたのは。


「没落してしまったんでしたわよね」
「はっ!?」

“ぼ、没落……!?”
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