身代わり婚約者との愛され結婚
“私ったら、何を考えているのかしら!”


 関係ないこの考えを振り払うように花からパッと顔を上げた私は、レヴィン様が私の赤くなった顔に気が付く前に話題を変えた。

「これは、どなたからかしら」
「それは……、ベネディクト、です」
「え、ベネディクト様?」

 てっきりレヴィン様からなのかと思っていた私はその回答に思わずキョトンとしてしまう。
 

「先日お礼を言ったから……?」

“だからまた持っていけ、とでも言われたのかしら”

 
 予想外だったせいで怪訝に思うが、確かにレヴィン様から私に直接プレゼントされる謂れはないかと納得する。

 そしてそれと同時にその事実を少しだけ残念に思った。

 
“まぁ、それでもきっと選んだのはレヴィン様ね”

 先日貰った花に続き、少し控えめだがこの可愛らしい花をすっかり気に入った私はメイドに頼み、私室へ持っていって貰って。


「本日もお茶を飲まれますか……、と聞きたいところなのですが」
「?」

 こほん、と咳払いをしそう切り出すと、てっきりまた席に案内されると思っていたらしいレヴィン様がその紫の瞳を少しだけ見開いて不思議そうな顔をする。

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