身代わり婚約者との愛され結婚
「まず、改めてお礼を。先日の夜会ではレヴィン様のお陰で無事最後まで乗り気れました」
「いえ、俺は特に何もしておりませんので」

“そんなことないわ”

 気付いてくれたのも、気遣ってくれたのも隣の婚約者ではなくいつも彼の身代わりにされているレヴィン様。
 
 そしてだからこそ、私はベネディクトではなく彼に感謝の気持ちを抱いていて。


「お礼をしたいのです」
「お礼、ですか? 必要ありませんが」

 私の言葉を聞いたレヴィン様が怪訝そうに首を傾げる。
 どうやら本当に助けた自覚がないらしい。

「えぇ、このまま何もしないのはエングフェルト家としても恥ですわ」

 少し強めにそう主張すると、流石にそれ以上は断り辛かったらしい。
 苦笑混じりにゆっくりと頷いてくれたレヴィン様を見て、何故だか私の心が踊る。
 

「で、ではっ! 今日は街に行きませんこと?」
「街ですか?」
「はい! 何か選ばせてくださいませ」

“もしかしたらベネディクトから手紙の代筆もさせられるかもしれませんし、万年筆とかいいかもしれないわ。あ、でもレヴィン様の綺麗な髪色に似たカフスボタンなんかも素敵かしら”

 
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